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樋口のSDGs – その表現、実はリスクになっているかも。正しく認識できていますか?

樋口のSDGs – その表現、実はリスクになっているかも。正しく認識できていますか?

SDGsに取り組まないことは、企業にとってリスクになるのでしょうか?

経営者やIR担当者なら、こうした疑問を抱いたことがあるかもしれません。この問いの答えは「まぎれもなくリスクになる」です。

リスクになる理由は前々回に、取り組むに際して理解すべき「サステイナブル」の真の意味ついては前回に解説しました。

今回は、実際にSDGsに取り組むときに気を付けるべきことについてお話しします。

実は、SDGs活動に強力な説得力を持たせると思って使っていた言葉が、ただの誇張表現ととられかねないケースも存在するのです。

SDGsへの取り組みを評価するのは多様なステークホルダーです。その中でも、特に外部の方々はどのように判断しているのか。

COP21の会場で環境保護団体の人々と話した時の衝撃を、経験ベースでお伝えしていきます。

 

著者:樋口直也

輸送機器企業で電動化や低炭素エネルギーシステムの研究開発に従事。
その後、低炭素技術普及のため自治体や他業種と連携してスマートシティー構想を推進。
COP21や伊勢志摩サミットに企業として参画し、経済産業省等の検討会にも参加。
早期退職し、念願の海沿いに隠棲中。

編集:今泉陸

ストックウェザー株式会社にてIR支援やSDGs関連の事業に従事。
前職で記事を執筆していた経験を活かし、記事コンテンツの制作・編集を担当しています。
各社のIR担当者や機関投資家と話して得た知見を用い、価値ある記事をお届けすべく奮闘中。

「ゼロ」エミッションを名乗るのはやめよう

「ゼロエミッション」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

エミッションとは「排出」「排気物」を意味する英単語で、自動車の排気ガスを示すときにも使用されます。これをゼロにすることが「ゼロエミッション」と呼ばれています。

SDGsに取り組むうえで、こうした排出物を減らす活動をしている会社もいることでしょう。しかし、「ゼロ」を名乗るべきではない、と教えられる機会がありました。

前回前々回と、国連本部のジェンダー担当ダイレクターとお話をしたり、COP21/CMP11の企業展示に参加したことをお伝えしました。

今回は、そこで出会った方々からいただいた貴重な気づきについてお話しします。

その製品は本当にゼロエミッションなのか?

COP21/CMP11の企業展示ブースには、政府関係者やビジネス関係者だけでなく、NGO/NPOの方々も多く訪れていただきました。なかには過激な環境保護者(環境保護団体?)もいらっしゃいました。

当時、私たちは電気自動車(EV = Electric Vehicle)も展示しており、それをゼロエミッションビークル(ZEV = Zero Emission Vehicle)として説明していました。

ちなみに、カルフォルニア州にはZEV規制というものが存在します。これにより、基準となる台数以上の自動車を販売するメーカーは、その販売の一定割合をZEV、つまり排気ガス(エミッション)を出さないクルマにしなくてはなりません。

参考:一般社団法人 次世代自動車新興センター

ところが、ある方から、衝撃的な突っ込みを受けました。

「では、タイヤからカスは出ないのか? ブレーキパッドもカスを出さないのか?」

もっともなことではありますが、私は答えようにも答えられませんでした。

つまり、彼らにとって、エミッションとはゴミ全体を指すんです。

電気自動車ですら彼らの基準では「ゼロ」にはならない。掲げていたはずの「ゼロエミッション」の認識すら違いました。我々は根っこから意識を変えていく必要があると思います。

ただ、話を続けていると、「人類が生きる上で多かれ少なかれ必ずゴミは出るので、ゼロエミッションなんて言わない方がいい」とのことでした。

「ゼロ」ではなく、「ゼロに近づける努力」を

「ゼロエミッション」の認識について、あなたの会社はいかがでしたでしょうか?

もちろん、排出量を減らすこと自体は非常にすばらしい取り組みです。すでにそのような活動をしていたり、低排出の製品開発を進めているのでしたら、それはSDGsへの取り組みとして十分に広報していけると思います。

ですが、完璧なゼロを目指すことはとても大変です。ステークホルダーの価値観によっては、「ゼロエミッション = 一切のゴミが出ない」と考えている場合もあるからです。

まずは少しでもゼロに近づけられるところから手を付けていきましょう。

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