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樋口のSDGs – サステイナブルとは「誰かが助けなくとも良い」状態にすること

樋口のSDGs – サステイナブルとは「誰かが助けなくとも良い」状態にすること

SDGsに取り組まないことは、企業にとってリスクになるのでしょうか?

経営者やIR担当者なら、こうした疑問を抱いたことがあるかもしれません。この問いの答えは「まぎれもなくリスクになる」です。

さて、昨今ではサステナビリティという言葉は耳慣れたものとなったように思います。「持続可能性」と訳される英語ですが、その本当の意味をご存じでしょうか?

SDGsを略さずに書けば、Sustainable Development Goalsとなります。この「サステイナブル」という言葉の本質を知ることが、SDGsへの意識改革の第一歩となるでしょう。

この記事の著者・樋口も、ニューヨークの国連本部のジェンダー担当ダイレクターと直接話した際、その意識のギャップに大きな衝撃を受けました。

本連載は、パリ協定が採択されたCOP21の雰囲気を肌で感じた樋口より、経験ベースでお伝えしていきます。

意識を変えれば、ビジネスのチャンスが見えてくるでしょう。変えなければ、リスクすら見えません。

 

著者:樋口直也

輸送機器企業で電動化や低炭素エネルギーシステムの研究開発に従事。
その後、低炭素技術普及のため自治体や他業種と連携してスマートシティー構想を推進。
COP21や伊勢志摩サミットに企業として参画し、経済産業省等の検討会にも参加。
早期退職し、念願の海沿いに隠棲中。

編集:今泉陸

ストックウェザー株式会社にてIR支援やSDGs関連の事業に従事。
前職で記事を執筆していた経験を活かし、記事コンテンツの制作・編集を担当しています。
各社のIR担当者や機関投資家と話して得た知見を用い、価値ある記事をお届けすべく奮闘中。

国連本部のジェンダー担当ダイレクターとの出会い

前回の記事では2015年11月のCOP21/CMP11に企業展示で参加し、SDGsと出会い、パリ協定の合意発表の瞬間に立ち会った、とお伝えしました。

COP21メイン会場の様子

そのCOP21/CMP11の前後に、UNDPの駐日事務所の方々とお打ち合わせをする機会が何度かありました。

UNDPとは国連開発計画(United Nations Development Programme)のことで、ホームページには以下のように記載があります。

国連開発計画(United Nations Development Programme)は、貧困の根絶や不平等の是正、持続可能な開発を促進する国連の主要な開発支援機関です。「国家にとっての真の宝は人々である」という信念に基づき人々や国々の能力を育てる活動を約170の国や地域で行なっています。

引用:UNDPについて

ある時、ニューヨークの国連本部からの出張者が私に興味を持っているとのことで、会わないか、との打診がありました。是非ともお会いしたい、とお返事しました。

当日の会議室に現れた女性の名刺には、ジェンダー担当のダイレクターと書かれていました。

SDG5ジェンダー平等の責任者だったのです。

私は、自分の部署を、社内でも珍しい女性比率30%の部署にしましたし、女性に管理職への辞令も渡して、先輩方に自慢していましたので、ジェンダー平等には自信がありました。

サステイナブルとは「誰かが助けなくとも、その状態が持続する」こと

私からは脱炭素関連技術をプレゼンしました。

それが終わると、「これは途上国の女性の役には立ちますか?」と質問されました。

私が「自然力発電とバッテリーで家電が使えるようになれば女性の労働は削減されます」と答えると、このような返事がありました。

「それだけでは、女性はより劣悪な仕事を強要されます。男性がそのシステムを独占してしまい、女性は別の労働に追いやられるのです。

このシステムの管理を女性しかできないようにできませんか? それができないとサステイナブルになりません

最初、私は何を言っているのか理解ができませんでした。しばらく打ち合わせしたところ、このように言われました。

「例えば、女性に資金援助しても結局は男性に取り上げられてしまうのが現状なのです。つまり、誰かが助けなくとも、その状態が持続できるようにすることが、サステイナブルなのです

SDGsにおいて重要なのは、目標達成後に持続させること

それまでは、地球を持続可能にするための目標がSDGsだと思い込んでいましたが、目標を達成するだけでなく、その後も自立的に持続させることが重要だったのです。

これは大変な仕事だと反省しました。いままでのCSRやESGのような自社目線の活動とは異なり、世界中の人々のために成果をだす活動なのでした。

もともとESGも2006年に国連が言い出したものですが、その方向性を示すSDGsが出されたことで、さらにESGを包括するインパクト評価につながっていくことになりました。

SDGsは、『持続可能な開発のための2030アジェンダ』という国連文書がベースになりますが、その前文には以下の段落があります。

すべての国及びすべてのステークホルダーは、協同的なパートナーシップの下、この計画を実行する。我々は、人類を貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒やし安全にすることを決意している。我々は、世界を持続的かつ強靱(レジリエント)な道筋に移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。

引用:我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ

いかがでしょうか?

ぜひ、「誰一人取り残さないことを誓う」という言葉の意味をもう一度考え、SDGsに取り組んでみてください。

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